平澤クリニック
咳が長引くのですが、なぜでしょうか。 3週間以上長引く咳は風邪の咳としては経過が長すぎます。原因はいろいろあります。マイコプラズマ肺炎、百日咳といった感染症、逆流性食道炎(胃液が食道に逆流する病気)、一部の血圧を下げる薬などが原因の一つです。しかし日本における長引く咳の3大原因は、ちくのう症、咳ぜんそく、アトピー咳嗽(がいそう)と言われています。ちくのう症は抗生物質による治療、咳ぜんそくとアトピー咳嗽は吸入ステロイド薬が効果があります。その他稀ではありますが肺結核、肺腫瘍などがあります。 ぜんそくの最近の治療法はどのようなものがありますか。 治療の主体は吸入ステロイド薬です。ステロイドと聞くと「副作用が怖い」というイメージを持たれている方もいらっしゃると思いますが、吸入ステロイド薬は安全性が立証されています。また非常に治療効果も高い薬で、この薬抜きにはぜんそく治療は語れません。その他にも各種気管支拡張薬、抗アレルギー薬などを使用します。状態に合わせて各薬を組み合わせて処方いたします。 最近息苦しくなりやすく困っています。 息苦しくなる原因はいろいろとあります。その中でも肺気腫や気管支ぜんそくなどといった肺に原因がある場合と心臓に原因がある場合が代表的と言えます。肺と心臓は強くお互いに影響しあっています。肺が悪いと心臓にも負担がかかり、逆に心臓が悪いと肺の機能も低下します。また他には貧血や肥満、神経筋疾患、ストレスなども息苦しくなる原因です。胸部レントゲン検査、血液検査、血液の酸素濃度を調べる検査、など諸検査を行い原因を調べます。 痰に血が混ざるのですが。 風邪に伴う血痰が最も多い原因です。風邪症状があり、痰に混ざる血液もごく少量であればまず風邪による気道の炎症による出血と考えます。その他には鼻血のたれ込み、咽頭喉頭がん、肺がん、結核、非定型抗酸菌症などがあります。それぞれ血痰だけではなく他の症状や検査結果などを評価しながら総合的に判断します。 アスベストと肺の病気について教えてください。 アスベスト暴露者でもっとも多くみられる肺の病変は肺をつつむ膜(胸膜)の肥厚です。暴露から20〜30年後に認められます。胸膜肥厚自体は良性でありがんではありません。低暴露でも発症しうると言われています。またアスベストが原因で肺の周りに水がたまることもあります。水分の量が増えますと呼吸が苦しくなります。中皮腫も暴露から30〜40年後に発症することがあります。これは悪性であり治療も困難です。肺がんが発症することもあります。 たばこを止めるのは今からでも遅くないでしょうか。 もちろん遅くありません。いつ何時止めても効果があります。たばこは生活習慣病より寿命を縮めるというデータもあります。もちろん肺がんの危険性も高まりますし、慢性閉塞性肺疾患といって肺の機能が極端に低下し吸入酸素を必要としなければならない状態になる可能性が高まります。胃が弱い方は特に厳禁です。たばこは胃の粘膜を荒らします。心臓病の危険性も高めます。他人のたばこの煙を吸うことでさえ、アスベストやディーゼル排ガスより有害と言われています。 成人用肺炎球菌ワクチンについて教えてください。 70歳以上の方の病気による死因の第1位は実は肺炎です。そして、高齢者肺炎を起こす代表的な菌が肺炎球菌です。 高齢者の肺炎を少なくするのがこのワクチンのねらいです。インフルエンザにかかった高齢の方の4人に1人は細菌性肺炎になると言われており、新型インフルエンザ流行時にこのワクチンの注目度は上昇しました。 65歳以上の高齢者の方に推奨されるワクチンです。1回接種しますと5年程度で予防効果が減弱しますが、接種後5年以上経過していましたらもう一度接種することが認められています。 ワクチン費用の助成制度も行われています。対象年齢の方は、中野区より予診票が送られてきます。
[ホームへ]